[ゲスト記事17]「旬」禁断の禁欲テクノ[イアラさん]
今回は所謂80年代の旬の総括的記事です。それでは、どうぞお楽しみください。
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旬I SHY-2004 84年2月
1.I-Location
2.Conditioning Cycle
記念すべき旬のファースト。今では珍しい8インチ。
初っ端からヘブナイザーによる英語のサンプリングが行われている所謂ミニマル。
P-MODELでお馴染みの笑い声もしっかりと使われている。
クレジットを見てみると
Susumu Hirasawa(P-MODEL):Vo,Heavenizer
Akiro Kamio(AC-UNIT):Tapes,Perc
Akemi Tsujitani(AC-UNIT):Vo,Synth
Iwao Asama(Kang-Gung):Atomosphere
と神尾明郎(現:有島)氏が関わっているのが分かる。
ここからカルカドルの流れに移行することを思うと重要な作品であると思う。
ジャケットのデザインはYuhということで、納得の仕上がり。
ちなみに旬唯一の宦官レコード作品。
後ろの~なんとか~からはじまり全く歌詞が聞き取れず悶々とする一曲。
平沢の語りがしっかりと入っている、平沢ボイスフリークにはよだれ物。
「宣言、私は一人二人と数え得ない、一箇所二箇所と数え得る」など意味不明な歌詞であるが
しっかり平沢節をここでも披露しているところはさすが。
「繋がりたければ」のループから唐突に曲が終わり、平沢の「ピース」という言葉で締めくくられる旬の中でも構成力が抜群の曲。




旬II P-2 85年4月
1.1778-1985
茶色いジャケットに銀色のシールが張ってある、今でも中古屋でちらほら見かける旬の7インチセカンド。
ソノシートに印刷されたアートワークも秀逸である。
メンバーは
Susumu hirasawa、Yuji Matsuda、Teruo Nakano
となっていて若き日の
中野照夫の演奏が披露された貴重な作品。
ファーストは2曲入りであったのになぜか、これはA面のみ。
収録曲はカルカドルにも収録された1778-1985。
横川が在籍している時期に同時並行で中野照夫を起用しているあたり、もしかすると限界を感じた平沢は
次期ベーシストとして中野のテストをしていたのではないかと思う。
晴れてそのテスト(!?)に合格した中野照夫青年は翌年1月に正式メンバーになる。


旬III P-4 85年5月
1.TABLE BEAT(responce version)
2.TABLE BEAT(paradime version)
セカンドからわずか一月後に発売されたサード。これも8インチ。
松田融児がボーカルを取るこれまた歌詞が聞き取れない難解な作品。
クレジットは
YUHJI MATSUDA(BIKINI)、SUSUMU HIRASAWA(P-MODEL)
となっている。
ヘブナイザーの使用はクレジットされていないだけあり、ほぼ「普通」の打ち込みの「普通」の曲。
音場や音色はSCUBAの延長線上にある気がしないでもないが・・・
70年代アメリカンコミックにような可愛いマンガのデザインはYUHKO ISHIIとなっている。
どういった人なのか私は知りません。
ファーストのYuhはこの人だったりして。松田融児の名前もYUHとなっていることからわざとやっている気もする。
このサードはセカンドに比べ中古屋で見かける事が少ない貴重な一品。売れなかったのかな??
赤いカラーソノシートに印刷された文字が素敵。
ファーストとサードは8インチで探すコツが有るのだが、それは秘密。



旬4 87年12月 SHU-1201
ソノシートから12インチヴァイナルへパワーアップした2年半ぶりの前期旬最終作。
ファーストにも入っていたI-LocationがLOCATIONとなり再収録。バージョンが違うような同じような・・・
残りのSIPHON、SHUN II、PAEは新録。SHUN II中身は1778-1985。
メンバーも
平沢に加え、Hiromi SEKI、Shuichi SUGAWARA、Shigeo MOTOJIMA、Yuji MATSUDA
と、誰やねん!というメンツが名前を連ねている。
ここで松田融児のがYujiと戻っていることから、サードはやはり意図的に変えたのではと勘ぐってしまう。
録音はRecorded & Mixed at United States Of KAMEARIとのことで、平沢の遊び心が垣間見れる。
そして特筆すべきはCover DesignがQuiyoshi INAGAKIと90年代の一番かっこいい平沢のアートワークを
担当した稲垣潔がクレジットされていることであろう。
また、このLPはジャケットの材質が独特で今中古で手に入るものはほとんど日に焼けて茶色に変色してしまっている。
もし写真のような日焼けのないものを店頭で見かけたら必ず購入しておくことをおすすめする。
歌詞カードには超絶かっこいい平沢が写っているのもポイントである。





上述の4作品はDIW/SYUNレーベルからCDで再発されていて(1)手に入れやすいので是非、「禁断の”禁欲テクノ”」を聞いていただきたい。
その他にはVHS作品とAMIGAのソフトでフラクタルを描画する際の色パレットを音に変換した作品が2作DIW/SYUNから
発売されているが、80年代「旬」とは全く質感が違うのでここでは割愛(2-3)。
※菫による補足 (1)SYUN-001 「OOPARTS」(2)SYUN-006 「Landscapes」(3)SYUN-011 「計算上のKun Mae」
以上「旬」は80年代独特のアートワークと共に楽しめる素晴らしい作品群であるということをお伝えして終わります。
じゃあね。
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ありがとうございました。80年代旬は本当にかっこいいので、「OOPARTS」(ハルディンドームにも収録)
など、CD盤を買うのは簡単なので、興味のあるかたはぜひ。
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コメントの投稿
素晴らしい記事ありがとうございます。
ところで、旬IのIwao Asama(Kang-Gung)さんの Atomosphere というのはどのような楽器でしょうか?つづりはAtomosphereで、合っていますか?
No title
スペルはあってます。
レコーディングのムードメーカーだったんでしょうかw
その場の雰囲気という意味のAtomosphereですかねぇ
貴重な資料に感謝
平沢さんの本質だと勝手に思ってます(笑)
一度だけ行われた旬のライブ、いつか陽の目に出て欲しいものです。
No title
旬のライブ気になりますね、ライブ録音がでまわっているかもしれません・・・